縮緬絵
ファン・ゴッホの浮世絵コレクション中、いわゆるクレポン(ちりめん絵)と呼ばれる版画は17点ある。この浮世絵は和紙に刷られた普通の色刷り木版画であるが、刷った後に紙が縮んでしわができるようにプレスして加工される。このしわが布のように見える。クレポンはほとんどが日本で輸出用に生産された。主題は花と鳥かヨーロッパで売れそうな装飾的な図柄であった。
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強烈な色彩
クレポンの多くが非常に派出な色彩であった。ファン・ゴッホのコレクションのクレポンがすでにかなり褪色していることを考えると当時は相当にどぎつい色であったはずである。クレポンに用いられたのは当時のヨーロッパの最新のインクで、明治時代(1868-1912年)に日本に輸入された。ファン・ゴッホは特にこの強烈な色彩の浮世絵に惹きつけられ、所蔵していたクレポンのほとんどをアトリエの壁に飾った。彼の作品をよく見てみると、カワセミなどが頻繁に描き込まれているのがわかる。
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二枚の紙
ファン・ゴッホは、複数の紙を上下に貼り合わされて大きな画面の一枚の版画にしたクレポンを3点所蔵していた。長い画面に激しい色彩の装飾的効果は大きい。ファン・ゴッホがこれらの作品を引越すたびにアトリエの壁に飾り続けたのは不思議ではない。オーヴェールで亡くなった後、そのうちの2点は彼のかかりつけの医師ポール・ガシェの息子の手にわたった。[リンク 失われた浮世絵]