武者絵
神話や歴史に名を刻んだ英雄や武者たちの浮世絵も多い。戦は大昔から日本文化の一部である。武者絵は19世紀の間に浮世絵のなかで重要な位置を占めるようになっていった。興味深いことに、ヨーロッパの浮世絵コレクションにはこの分野は比較的少ない。海外に輸出する浮世絵市場としては特に美人画や風景画といった主題の方が得策と見越したのであろう。
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武者絵の浮世絵師
国芳は武者絵を専門として高い評価を得た最初の浮世絵師で、顔の表情や個性的な姿勢をものの見事に表現した。彼は戯画的とさえ言えるような手法によって英雄や武者物語の臨場感や興奮を表現した。版元が画面上に物語を説明する俳諧的文章を加え、どの場面の描写なのかを明確にすることもあった。
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血沸き肉躍る浮世絵
武者絵は血まみれの暴力的場面がかなり多い。ファン・ゴッホのコレクションに武者絵はあまりない。おそらく残酷な描写と平和な国の日本という彼の理想的イメージが合わなかったためであろう。