Utagawa Kunisada
ファン・ゴッホの浮世絵コレクションの約半数が国貞の版画である。国貞も非常に多産な浮世絵師であった。ほぼ60年に及ぶ活動期間中貪欲に仕事し続け、数千点に上る彼の図案が版画になった。生存中これほどの制作量と人気を誇りながら、19世紀末には最も偉大な巨匠の数には入らなくなっていた。批評家たちは国貞の作品がマンネリ気味と見た。ファン・ゴッホが国貞の浮世絵を収集したのはまさにそれゆえだったかもしれない。彼は国貞の巧みな職人芸を讃えていたが、高い値を支払う必要がなかった。
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江戸の誘惑
国貞は、生涯も仕事もすべて江戸の歓楽地にささげた。彼は魅惑的な美人画を手掛ける浮世絵師であった。花魁の白い肌はこの版画の主題で、タイトルも「白」である。画面上部には白くて美しいものすべて:花、雪、そして鏡に映るこの図の女性の首などが列挙されている。
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不完全な図柄
ファン・ゴッホの浮世絵コレクション中きわめて多くの国貞の版画が、本来三枚組、あるいはシリーズの一部であった。そのため描写されている画像は非常に断片的である。より大きな全体のなかのごく一部であるために、唐突に構図が断ち切られているように見えるものもあった。その場合、もともと意図された以上に近代的に見えた。